文部科学省科学研究費助成事業「新学術領域研究(研究領域提案型)」平成29~33年度ハイブリッド触媒

大井 貴史 » English

所属 名古屋大学大学院工学研究科、トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)
役職 教授
連絡先 Email
HP http://www.chembio.nagoya-u.ac.jp/labhp/organic3/index.html
専門分野 触媒化学、有機合成化学、有機金属化学
研究キーワード 分子触媒、触媒的不斉合成、イオン反応、ラジカル反応
所属学会・研究会 日本化学会、有機合成化学協会、アメリカ化学会、イギリス王立化学会

概要

我々の研究目標は、従来の単一触媒では不可能な化学反応をハイブリッド触媒システムで実現することである。分子性触媒を用いた化学合成は、これまでに長足の進歩を遂げてきた一方で、達成困難な課題を数多く残している。例えば、単一のキラル触媒を用いた不斉合成では、絶対配置の異なる触媒を使い分けることで任意のエナンチオマーをつくることが可能であるが、ジアステレオマーを意図的につくり分けることはできない。すなわち、特定の立体異性体をオンデマンドに提供する技術が確立されていないのが現状である。この課題を解決するため、我々がこれまでに培ってきた求核剤・求電子剤の個別認識や各立体化学決定段階の個別制御に関する知見をもとに、複数種の基質を複数種の触媒でそれぞれ独立に制御・活性化し得る独立作用型ハイブリッド触媒系を開発する。さらに、高い活性や新たな触媒作用の創出にもとづく反応制御を志向したアプローチとして、複数種の触媒分子間での反応によって優れた活性を有する化学種を発生させる触媒間反応起動型ハイブリッドシステムの創製にも取り組む。例えば、安定なキラル分子に別の触媒を反応させることで、高い活性と立体制御能を兼ね備えたキラル触媒活性種を生成させるシステムを設計する。また、二種の触媒分子の会合体に外部エネルギーを与えることで、異なる触媒作用を発揮し得る二種類の活性種を発生させるシステムをつくり出す。ここではイオン反応のみを対象とせず、ラジカル反応を含む多彩な反応の開拓に資する触媒開発を行う。

研究業績

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原著論文

  • "Catalyst-Directed Guidance of Sulfur-Substituted Enediolates to Stereoselective Carbon-Carbon Bond Formation with Aldehydes"
    Uraguchi,D.; Yamada, K.; Sato, M.; *Ooi, T.
    J. Am. Chem. Soc., 2018, 140, 5110–5117
  • "Catalyst-Enabled Site-divergent Stereoselective Michael Reactions: Overriding Intrinsic Reactivity of Enynyl Carbonyl Acceptors"
    Uraguchi,D.; Shibazaki, R.; Tanaka, N.; Yamada, K.; Yoshioka, K.; *Ooi, T.
    Angew. Chem. Int. Ed., 2018, 57, 4732-4736
  • "Allenedicarboxylate as a Stereochemically Labile Electrophile for Chiral Organic Base-Catalyzed Stereoselective Michael Addition"
    Uraguchi,D.; Kawai, Y.; Sasaki, H.; Yamada, K.; *Ooi, T.
    Chem. Lett., 2018, 47, 594-597
  • "Molecular Design, Synthesis, and Asymmetric Catalysis of a Hexacoordinated Chiral Phosphate Ion"
    Uraguchi,D.; Sasaki, H.; Kimura, Y.; Ito, T.; *Ooi, T.
    J. Am. Chem. Soc., 2018, 140, 2765-2768
  • "Diastereo- and enantioselective phase-transfer alkylation of 3-substituted oxindoles with racemic secondary alkyl halides"
    Ohmatsu,K.; Furukawa, Y.; Kiyokawa, M.; *Ooi, T.
    Chem. Commun., 2017, 53, 13113-13116

総説・解説

  • 「有機イオン対の触媒化学:構造に由来する機能発現」 浦口大輔、大松亨介、大井貴史, THE CHEMICAL TIMES, 248, 19-25
  • 「α-アミノカルボニル化合物の効率的不斉合成」 中島翼、大松亨介、大井貴史, PHARMSTAGE , 17, 61-67, 2017

国際会議

  • 1st International Symposium on Catalysis for Sustainable Chemical Synthesis
    "Catalytic Asymmetric Strecker Reaction of Ketoimines with Potassium Cyanide", ポスター発表
    Morita, Y.; Ohmatsu, K.; Ooi, T.
    2017年9月25日~2017年9月26日, Freibrug, Germany
  • 1st International Symposium on Catalysis for Sustainable Chemical Synthesis
    "Stereoselective Mannich-type Reaction of Aromatic Lactams under the Catalysis of Chiral Ammonium Betaines", ポスター発表
    Kato, K.; Uraguchi, D.; Ooi, T.
    2017年9月25日~2017年9月26日, Freibrug, Germany
  • 1st International Symposium on Catalysis for Sustainable Chemical Synthesis
    "Molecular Design of Organic Ion Pairs for Asymmetric Catalysis", 招待講演
    Ooi, T.
    2017年9月25日~2017年9月26日, Freiburg, Germany

国内学会(会議)

  • 日本化学会第98春季年会
    "触媒的利用を志向した新奇キラル六配位リン化合物の合成および物性評価", 口頭発表
    木村悠人、佐々木仁嗣、浦口大輔、大井貴史
    2018年3月20日~2018年3月23日, 船橋・千葉
  • 日本化学会第98春季年会
    "新規キラル6配位型キラルホスフェイトイオンの分子設計・合成および不斉触媒反応への応用", 口頭発表
    佐々木仁嗣、木村悠人、浦口大輔、大井貴史
    2018年3月20日~2018年3月23日, 船橋・千葉
  • 日本化学会第98春季年会
    "光照射下でのラジカルイオンペア形成と触媒的結合形成反応への展開", 口頭発表
    今泉直樹、荒巻吉孝、大井貴史
    2018年3月20日~2018年3月23日, 船橋・千葉
  • 日本化学会第98春季年会
    "触媒的不斉Michael付加を利用したγ置換型2,3-ブタジエン酸エステルの速度論的光学分割", 口頭発表
    登優美子、山田康平、浦口大輔、大井貴史
    2018年3月20日~2018年3月23日, 船橋・千葉
  • 日本化学会第98春季年会
    "軸性不斉のラセミ化を伴うアレンジエステルへの立体選択的Michael付加", 口頭発表
    山田康平、河合靖貴、浦口大輔、大井 貴史
    2018年3月20日~2018年3月23日, 船橋・千葉
  • 日本化学会第98春季年会
    "1,2,3-トリアゾールを鍵骨格とするアニオン補足型超分子キラルブレンステッド酸触媒の開発", 口頭発表
    鈴木隆平、古川由季乃、大松亨介、大井貴史
    2018年3月20日~2018年3月23日, 船橋・千葉
  • 第10回有機触媒シンポジウム
    "分子内アシル転位を経る触媒的不斉グリコレートアルドール反応の開発と理論計算による反応機構解析", ポスター発表
    山田康平、佐藤真、浦口大輔、大井貴史
    2017年11月30日~2017年12月1日, 仙台・宮城
  • 第10回有機触媒シンポジウム
    "反応性カチオン種の制御を指向した新規キラル非配位性アニオン型触媒の創製と機能評価", ポスター発表
    木村悠人、佐々木仁嗣、浦口大輔、大井貴史
    2017年11月30日~2017年12月1日, 仙台・宮城
  • 第10回有機触媒シンポジウム
    "ドナー-アクセプター型イミンの光触媒機能創出", 口頭発表
    土屋祐人、大谷毅、浦口大輔、大井貴史
    2017年11月30日~2017年12月1日, 仙台・宮城
  • 第32回農薬デザイン研究会
    "新しい分子の振舞いを理解する:触媒機能から生物活性まで", 招待講演
    大井貴史
    2017年11月17日, 東京
  • 第28回基礎有機化学討論会
    "反応性カチオン種の制御を指向した新規キラル非配位性アニオン型触媒の創製と機能評価", ポスター発表
    木村悠人、佐々木仁嗣、浦口大輔、大井貴史
    2017年9月7日~2017年9月9日, 福岡

受賞

  • 「有機合成化学協会企業冠賞 第一三共・創薬有機化学賞」
    受賞者:大井貴史
    贈呈元:有機合成化学協会
    受賞日:2018年1月15日